きろく

観劇・鑑賞日記

シネマ歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐

そもそもシネマ歌舞伎との出会いは10年少し前(10…!?)の大江戸りびんぐでっと。歌舞伎は授業で齧った程度で、クドカンらしいぞ。とただそれだけの興味で友人と映画館へ。歌舞伎公演がホテルとかしか無かった地方民からすると馴染みの無いものすぎて、物見遊山だった。

結果めちゃくちゃ面白くて、分かりにくいイメージだった歌舞伎が良い意味で一新された。

あの時大江戸りびんぐでっと観といて良かった~と後々思うことになる。何でも入口は大事。

ちょこちょこと行けそうな時に(なんたって映画館が限られているし、公開期間が短い)シネマ歌舞伎を観つつ、推しが出た生の歌舞伎に触れご縁を感じつつ…

 

そうして気になっていたシネマ歌舞伎とうかぶを観てきたわけで、そのお話。

 

生の歌舞伎で耳寄屋さんに出会ったわたしはシネマ歌舞伎を観る時もすっかりイヤホンガイドさんファン。片耳用のイヤホンがベスト。

話の流れや切り替え、用語やタイミングが分かりやすいのでいつも助かる…(しかしスマホが勝手にオフにならないか謎にハラハラする)

 

月刀剣縁桐は三日月メインの話で、編成も時代に沿った六振り。

余談すぎるが年数回しかログインしないわたしは毎回お久しぶりですみたいな対応をされる。ごめんねむっちゃん…新刀の入らない本丸。アットホームな職場である。

それはさておき、あらすじはHPでも見れば良いので割愛。

何より「ウワァァ!!」となったポイントは中村獅童さんが審神者の声ってところで(思いつきで観にいったので全然チェックしてなかった)、武闘派審神者か…?とテンションが上がった。しかし声のみである。

幕が上がり並んだ六振りの姿は圧巻。度々出てくる紹介パートに2.5次元みを感じるのもまた面白い。歌舞伎においてのキャラ分けもしっかりなされているのがすごいなと思った。クラシック・ジャズ・ヒップホップみたいな感じで。語彙…。

シナリオが面白くて、松永氏をそう絡めてくるんだな~というのがとても好み。やべー人みたいな印象で後世にのこるものが多い人物ほど、人情味のある描かれ方をするとテンションがあがるものである…LOOSERの芹沢局長とかさ…ちょっと違うか…?松永氏が大変良かったって話である。全然関係ないけど紅梅姫可愛すぎた。

シネマ歌舞伎の最高な点は豪華絢爛な衣装がアップで観れる点にもある。ほんのり歌舞伎衣装ナイズドされた裾捌きの美しい衣装にはうっとりである。やっぱり選抜の六振りと、時代の親和性が歌舞伎と相性抜群なのがとても良いなとしみじみ。

何より好きなのがラストの六振り本体がピックアップされるところ。とうらぶで演る意味があるというか、作品や時代へのリスペクトを感じるところに一番ぐっときた。江戸時代の演目とかに本当にありそうなのが大変良いな…と謎の感慨を残して閉幕。良いエンタメを摂取した。

 

久々にログインしてみた。

あるじ の ふざい も ほんまる を まもる はせべ が あらわれた!

ごめんね…いつもテンション高くてありがとう。でもやっぱ動作重すぎてまた遠のきそうです。せめてブラウザ軽くなんないかな。

ハザカイキ 3/31

観劇後ホテルに向かう途中、駅や電車内の人混みを見る。皆一様にスマホを見ている。自分も無意識にスマホを見ようとしていて、やめた。

なんとなくあの場面がフラッシュバックする。眩しい光に、ゾッとするほど人の視線を浴びる舞台の中央が。

 

すごい舞台だったなと思う。

リアルというか、もうそのまま社会の縮図。社会風刺が効いてるとかじゃなくて、ただの真実を映しているような。

 

自分の吐いた言葉に責任が持てないなんて言いたくないけど、突発的に言ってしまう事はある。よくそれで後悔する。その後悔が自分だけに影響するならまだいいけれど、その輪は本人が思うよりずっと遠くまで広がってしまったとしたら。

誰もが他人事じゃない景色がそこにあった。誰もが正しくて、誰もが正しくない。

そんな世の中でも、信頼できる人が居るなら悪くないかもしれない。と思わせてくれる舞台。

 

 

わくわくさせる1幕、怒涛の2幕。どのシーンも場面転換が面白くて見応えがあったけど、風間さん大空さんのシーンは何でか一番泣けてしまったなあ。長い長い期間に築かれた目に見えない絆とか愛情にぐっときた。

どのお方も安定していてスッと役としての姿に浸透できていたんだけども、恒松さんの最後のシーン、本当にすごかった。(個人的にカメラが苦手なのでめっちゃ怖かったw)

求心力が半端ない。

あの存在感は一体何なんだってくらい、惹き付けられた。パワーがすごい。舞台役者の方は身体の内側から、皮膚から発せられるエネルギーみたいな熱が物凄く伝わるんだけども、恒松さんのパワー強すぎて生で観るべき。って圧倒された。(九条さんとのコンビかわいかったな~って振り返ってたら九条さんて芸人さんだったのかすごいな)

丸ちゃん、ほなみさんはヘドウィグで拝見していたコンビだったのでめちゃくちゃ楽しみだった。ものすごく自然な感じの恋人同士なのも良かったな~なんかモーニングとかで連載してそうな…笑

勝地さんと丸ちゃんのコンビも最高で末永くダチで居て…って思った。2幕の勝地くんからの衝動的なシーンは流石の演技力で胸がキュッとなったし、丸ちゃんの演技があまりにもリアルすぎて良かった。

 

パンフレット見て気付いたけど、役名にデジャビュだな~って思うのは三浦作品だからか…!スターシステムみたいな…?

 

色んな人が観て色んな感想を抱くべきだろうなって舞台だと思った。1回でも観れて良かった~!願わくば中日と楽日観たいものだけど!

伝えるべきは伝えるのが必要だよなと思った。察しろは無理だよね。他人なんだもん。

社会風刺エンタメ(ってまとめるのが正解なのかわからない)として、めちゃくちゃ面白い舞台でした。

キャストさんスタッフさん、最後まで揃って走り続けられますように!

 

あとやっぱ新宿は迷う!MILANO-Za側こわい!笑

けもののおとこ 3/31

めまぐるしく変わる時代と場面にぐるぐる思考を回転させながら思うのは、主人公・未衣の無機質さ。

女に選ばれる男、として洗練されていく未衣はお父さんの作品でしかなくて、でも友達は選ぶ対象じゃないからその時だけは人間らしくて。とはいえ他人への興味関心の薄さはやっぱり無機質で、世良くんが居ることで少し人間らしくなれていたんじゃないかなと思った。世良くんはあまりに眩しい存在だったんだろうな。世良くんの奥さんとのやりとり、電話口で思いを伝えるところはギュッときた。

そしてかぶちゃんの存在があるからこそ、未衣の人間的成長が見えたんだなと思う。自分の世界を広げてくれる存在であり、ずっと一緒にいたい存在…

性別関係なく、唯一が在るって本当にすごい事なんだよなあ。

お父さんが「父」である為に未衣を縛った呪縛が解けるのはあまりに呆気なかったけど、でもきっとそういう事なんだよな。未衣の世界がお父さんだっただけで、お父さんの世界がお母さんだけだった。

 

「けもの」の本能は気高く孤独で寂しがり屋なんだなあと思った。そういうところが情けなくて愛おしいから、きっと「けもの」は唯一を探すんだろうな。

 

大変面白い舞台だった!しかし新宿は迷う!!

終わっちゃう前に観れて良かった~!!